不登校と社会性

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不登校と社会性


こんにちは。
“信州から不登校&公教育”の関サバ子です。

今日は「不登校と社会性」について書きます。

いやもうね、不登校だっつーと「社会性が身に着かないんじゃ」とご心配賜るのですよ。
「1000%そんなことないよ」って話です。



★社会性が身につかない?
学校に行っていないと「社会性が心配」と言われることがあります。
実際、ときどき言われます。


最初は「そうかも」なんて素直に受け止めていたわたしですが、だんだんはっきりと「違う」と感じるようになりました。


「学校に行かないと社会性が育たない」という言葉の背景には、「学校」で「集団生活」を送らないと社会性が身につかない、という考え方があるようです。



★そもそもから考えてみた
そもそも、社会性とはどういう意味なのでしょう。
(不登校を掘っていくうちに、“そもそものとこはどうなのよ?”と考えることが多くなりました。これは良かったことのひとつです)


『三省堂国語辞典<第七版>』(三省堂)をひいてみましょう。


社会性(名)

①社会のものごとに広く関心を持つ性格。「―をやしなう」

②社会一般に広く通じる性質。「―のある問題」




ふむふむ。

では、こういったことを養うには、「学校」「集団生活」は必須なのでしょうか?

わたしは、断固「否」だと考えます。



★「通学」は当たり前ではない
unicef(ユニセフ)が2017年に発表した内容によると、世界中で学校に通えない学齢期の子どもは1億2300万人(11.5%)いるそうです。
(このうち40%が開発途上国、20%が紛争地に住む学齢期の子どもだそうです)

また、世界にはいろんな環境・ライフスタイルで暮らす子どもがいます。

オーストラリアの人口過疎地に住んでいる子どもは、周囲に通える学校がないので通信教育が当たり前。
歴史も古く、1916年が最初なのだとか。

自分の家の数キロ四方、ほかに民家がないところに住む子どももいます。

遊牧民の子どもはどうでしょうか?

では、こういった環境で育った子どもたちは、社会性が身につかないまま大人になるのでしょうか。

そんなことはないですよね。
(極度の貧困状態や紛争状態に置かれて、心身ともに甚大な影響を受けた子どもはまた別に考える必要がありますが、今回はテーマから離れてしまうので触れません)



★それって「同調性」では?
日本で「社会性」が使われる場面は、実は「同調性」のことを指していることが多いと感じます。


社会にはいろんな人がいる。

大人になれば、やりたくないこともやらなければならない。

嫌な奴とも協力しないと生きていけない。

人の言うことを素直に聞けないと苦労する。(素直、という言葉もクセモノですね)

それに耐えるため、適応するために「社会性」を身につけなければならない。

そのために「集団生活」「学校」が必要なのだ。


こんな感じでしょうか。


「社会人」という言葉も独特ですね。
学校を卒業して仕事に就くと「社会人」と呼ばれます。

では仕事に就く前と、仕事を辞めた後の人は社会人ではないのか?
社会人には「一人前」というニュアンスがありますから、なおさらこれ、モヤる話ですよね。

社会とまったく関わらずに生きている人はほとんどいません。
生まれたての赤ん坊だって、いや、まだお腹の中にいる赤ちゃんだって、子どもだって、寝たきりのご老人だって、みんな「社会人」であるはずです。


社会性という名の同調性を身につけさせることで、いちばん得をするのは誰なのでしょうか?

言うことを聞かせる側の人間でしょう。

わたしは、そんな社会性ならば、身につけなくていいと考えます。



★自分の外側への興味関心
学校に行かずとも、本来の意味での社会性は十分身につく、と長男を見ていて感じます。

そもそも、人間は社会をつくる動物です。(人間以外の動物や昆虫でもそういう種はありますね)

邪魔が入らない限り、放っておいても社会性をもつのが人間です。

事実、子どもを見ていると、自分の外側への興味関心がすごいですよね。

社会性というのは、まさにそういうことではないでしょうか。



それに、社会とどう関わっていくか・どれだけ関わっていくかは人によって濃淡はあって当然で、「かくあるべし」というものは本来ないはずです。(それこそ余計なお世話だ!)

押し付けられるものではなく、自分で選ぶことです。



「社会性ガー」という人が現れたら、その人がどういう意味で社会性という言葉を使っているのか、よくよく吟味してみることをおすすめします。





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